一般財団法人ピースコミュニケーション

LIBRARY活動実績

国連を支える世界こども未来会議

国連を支える世界こども未来会議 in OSAKA

2024.09.21

大阪市内で「国連を支える世界こども未来会議 in OSAKA」が開催(撮影・蔦野裕)

一般財団法人ピースコミュニケーション財団が9月21日、大阪市内で「国連を支える世界こども未来会議 in OSAKA」を開催した。同会議は小学生がSDGsの観点からワークショップ形式でディスカッションを行い、その結果を発表し合うもの。
 会議には近畿2府4県の小学生64人が参加。10のグループに分かれ「住み続けられる未来の大阪」をテーマに闊達な議論が繰り広げた。
「国連を支える世界こども未来会議」は、2019年に東京オリンピック・パラリンピック公認プログラムとしてスタートしたBEYOND2020NEXT FORUMから創出されたもの。世界のこどもたちが集まり、SDGsを軸に平和で豊かな世界について語り合う「ピースコミュニケーション」の場として毎年開催している。2023年2月には国連本部より「The Children’s Conference of the Future in Support of United Nations」とタイトル認定されている。
 これまで東京都内豊島区、品川区、北区、稲城市、沖縄、浜松市なども開催。大阪では3回目の開催となり、今年度は10拠点で開催の予定という。
 会議の冒頭、財団の一木広治代表理事が「この会議は皆さんの世代が未来をどうしたいか、そのためには何をしなければいけないかということを大人がサポートしていこうということで始まったもの。皆さんは小学4~6年生のいわゆるアルファ世代。アルファ世代の皆さんが未来を支えていくことになります。今日選ばれたグループは来年の3月に東京で行われる『第5回国連を支える世界こども未来会議』に参加していただきます。そして夏には大阪・関西万博があります。広島に原爆が落とされた8月6日に、万博で子どもたちが集まってピースコミュニケーション宣言を出そうと計画しているので、ぜひ皆さんにはいいアイデアを出していただきたいと思います」とこの会議の趣旨と今後の流れを説明した。

国連を支える世界こども未来会議国会議員サポーターズクラブ幹事の中山泰秀氏(撮影・蔦野裕)

続いて審査員を務める国連を支える世界こども未来会議国会議員サポーターズクラブ幹事で、元防衛副大臣兼内閣府副大臣、元外務副大臣の中山泰秀氏が「皆さんのストレートな考え方、それから互いに議論をして意見が違うときもありますけれども、それをしっかりまとめていくというところも今日は頑張ってください。楽しみにしています。活発な議論をよろしくお願いします」、朝日放送グループホールディングス株式会社の胡摩ヶ野洋執行役員が「皆さん、初めての友達もいらっしゃると思うが、チームプレーなので、皆さんで意見を出し合ってつなげて、高め合ってワクワクするようなアイデアを出していただければと思います」、関西テレビ放送株式会社の和田由美総務局長が「皆さんのプレゼンを楽しみにしています。もしかしたら皆さん、緊張したりワクワクしたりしているかもしれませんが、私も皆さん以上にドキドキしてワクワクしています」とそれぞれ挨拶した。
 会議は2部制で行われ、第1部では「住み続けられる未来の大阪」について考えるワークショップが行われた。ここではまず、このプロジェクトに協賛している日本電信電話株式会社が開発した「心臓ピクニック」と「わたしたちのウェルビーイングカード」を用いながらの自己紹介からスタート。
 心臓ピクニックは聴診器を胸に当てると手に持った小型の箱が鼓動に同期して振動する装置で、緊張の度合いなどが可視化できるもの。カードはウェルビーイング=いきいきと生きるあり方や、心地よい状態=のための18の大事なことが書かれており、それを各々が提示しながら自己紹介することで、この人は“何を大事にしているのか”“何が好きなのか”といったことがより伝わりやすくなり、意思の疎通や共通理解が深まるというもの。
 この自己紹介でコミュニケーションを深めたこどもたちはディスカッションをスタート。ここでは「住み続けられる未来の大阪」のために大事だと思うことが書かれているカードを各々1枚選び、その理由を考えグループ内で発表。各々の意見を出し合った上でグループとして1枚のカードを選び、さらに議論を重ね、具体的なアイデアをブラッシュアップ。そして各々ができる行動を考えるといったところまでの作業を進めた。

発表に向けて資料作り(撮影・蔦野裕)

 

第2部の冒頭には、昨年行われた「2023年度国連を支えるこども未来会議 in OSAKA」で最優秀賞を獲得し、今年3月に都庁で開催された「第4回国連を支える世界こども未来会議」に参加し、7月にはキッズアンバサダーとしてNY国連本部を訪問した北岡豊菜さんが挨拶。
 北岡さんは「国連の見学で感じたことは関わっている人の多さ。会議に参加する方、職員の皆さん、見学ツアーに参加される方、国連にはさまざまな国からたくさんの人が集まっていました。世界は本当に広くて大きくて、まるで地球儀を見ているような不思議な感覚にありました。また、これだけたくさんの方が平和について考えているのならば、平和への道のりはそんなに遠くはない未来に来ているのでは?とも考えました。その後のアンバサダーとしての発表会では平和と気候変動について、それぞれアイデアが出され、どれも素晴らしかった。これから大人になる私たちも、これで終わりにせず、一人ひとりがよりよい世界について考えていければ、国連の見学で感じた“遠くない未来の平和”その一翼を担えるのではないかとも思いました。ニューヨークでの5日間は見るもの、聞くものすべてが新鮮で興味深かったです。海外の方は自分の考えをはっきりと相手に伝えることができているということも私にとっては大きな収穫でした。自分ができることはまだ限られていますが、まずは目の前のことから意見を伝え、話し合い、誰もが居心地のいい空間を作ることから始めたいです。今日、未来会議に参加されている皆さんの意見や思いが、住み続けられる未来の大阪、そして世界の平和につながっていくとうれしいです」と語った。
 その後に行われた発表では住み続けられる未来の大阪を実現するために大事なこととして「協調」「挑戦」「生命や自然と思いやり」「環境への配慮」「決まりを守ること」「自然との共存」「挑戦」「自然と一体になること」「ゴミを減らして自然をよくすること」「思いやり」と各グループがスローガンを掲げ、それを実現するための取り組みが発表された。
 審査の間には朝日放送テレビ気象予報士の佐藤悠氏が「異常気象がアタリマエに?~気候変動がもたらす未来~」と題したステージトークを行った。
 佐藤氏は「今年の近畿地方、観測史上、何番目に暑かった?」といった天気に関するクイズをまじえながら「気候変動」「地球温暖化」、そしてその原因やメカニズムなどについて解説。今年、頻繁に発生している台風についても「温暖化で海面水温が上がったから」と説明し、海面温度の上昇が異常気象につながり、今後もスーパー台風やゲリラ豪雨が増えると警鐘を鳴らす。
 そのうえで「電気の無駄遣いをしない」「再生可能エネルギーを使う」といった地球温暖化を防ぐ方法を推奨。それでも異常な暑さや大雨はもっと増える可能性は高いという予想から「今、自分たちができること」として「適応(備え)」という言葉を挙げる。これは「お天気は変えられないが、その天気に対して私たちはどう行動・対応するかという適応が今後の時代のキーワードになる」という考えから。
 そして「地震は予測が難しく対策は難しいが、気象災害は事前に予測できることが多い災害。私たちの備え次第で身を守ることができる」として「天気予報をこまめにチェック」「非常用持ち出し袋の準備」「ハザードマップの確認」といった日常の「備え」の大切さを語った。

「挑戦」の大事さを掲げたチームが最優秀賞を受賞(撮影・蔦野裕)

 

この間に行われた審査の結果、「朝日放送テレビ賞」をFチーム、「関西テレビ賞」をDチームが受賞。
 Fチームは「自然との共存が大事。大阪は現在、自然が少なく、人間と自然のバランスが崩れているので、もっと自然を増やすことが大事。今、私たちができることは物を大切にすることと緑を大切にすること」、Dチームは「環境への配慮が大事。大阪の街では木が切られていることが多い。緑や自然が減って気温が上がり、生態系が崩れて人にも動物にも害が及んでいる。今、私たちができることは庭などに植物を増やすこと。人間と植物が共存しできる社会をつくる」などとともに環境問題を取り上げていた。
 最優秀賞を獲得したBチームは「挑戦が大事。何事も始めるのは挑戦から。何事も始めるのは挑戦から。そこから新たなアイデアや行動が生まれ、挑戦する大阪として住み続けられる。今、私たちができることは何事も勇気や自信を持ってチャレンジすること」などと意識改革を掲げたうえで具体的な動きとして外国人やさまざまな人との友情の形成やボランティアといった社会貢献活動を挙げた。
 審査について一木氏は「差があまりなかった。今回は大人の審査員と子どもの審査員の両方の点数を見て決めるんですが、あまり差はついていなかった。今回は子どもの得点が一番高いところが最優秀賞になった」と語った。
 そして最後に「この未来会議は今年で終わるわけではなく毎年やる。なので4年生と5年生は来年も参加できます。ぜひ興味を持って、自分たちが住む街がどんな街になればいいかをいつも考えてもらえれば。来年の3月には東京でやります。最優秀賞のチームの人たちに参加してもらいますがみんなバラバラになって世界の子どもたちとチームを組んで議論することになります。来年は万博でもやります。世界中の子どもたちが集まってエキスポホールという一番大きいところでやりますので、ぜひ楽しみにしてください。今日はいいアイデアをありがとうございました」と締めくくった。

☆関西テレビのハチエモンとABCテレビのエビシーがレアな共演

☆ワークショップの様子

☆キッズアンバサダーとしてNY国連本部を訪問した北岡豊菜さんが挨拶

☆朝日放送テレビ気象予報士の佐藤悠氏がステージトーク

☆関西テレビ賞(Dグループ)

☆朝日放送テレビ賞(Fグループ)

TOP