一般財団法人ピースコミュニケーション

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国連を支える世界こども未来会議

第2回国連を支える世界こども未来会議

2022.03.26

身近なアンコンシャス・バイアスを見つけよう!「第2回こども未来国連会議」は“ジェンダー平等”がテーマ

 

SDGsのゴールである2030年以降の世界はどうなって欲しいか? そのためにどうすればいいのか? 世界の子どもたちがつながり、これらの課題について考え、発信していく場である「こども未来国連会議」の第2回が、 3月26日、東京・有明のSMALL WORLDS TOKYOで開催された。まん延防止等重点措置が解除されたばかりの悪天候下ではあったが、日本を含む13カ国、43人の子どもたちが集まり元気に意見交換。イベントの最後にはミュージシャンでUNHCR親善大使のMIYAVI氏とのライブセッションも行われました。

 

 

各界の著名人やリーダーが子どもたちをバックアップ

 

 この日のイベントはSDGsのテーマに基づき、社会課題の解決のために企業・個人・団体が連携してさまざまなネットワークや情報を共有し、コミュニケーション本来の力を駆使して平和な社会づくりにチャレンジするアクション&オピニオン参加型プロジェクト「SDGsピースコミュニケーションプロジェクト」の中核事業。外務省、東京都が後援し、各国大使館、国連広報センターとも連携しています。

 

コミュニケーションサポーターに、中山泰秀氏(自民党政調会長特別補佐)、星野俊也氏(前国連大使、大阪大学教授)、堀潤氏(ジャーナリスト)、中島優子氏(外務省国際協力局地球規模課題総括課経済協力専門員)、若林理紗氏(デロイトトーマツコンサルティング)、Chigusa氏(ラジオパーソナリティー)、MIYAVI氏(アーティスト、UNHCR 国連難民高等弁務官事務所親善大使)を迎え、SDGsの5番目の目標「ジェンダー平等を実現しよう」をテーマに子どもたちがアイデアを出し合いました。

 

 まず、本プロジェクト代表幹事の一木広治氏が開会の挨拶。続いて外務大臣・林芳正氏、国連広報センター所長・根本かおる氏のビデオメッセージが紹介された。会場のコミュニケーションサポーターは直接こどもたちにメッセージ。昨年に続く参加となったMIYAVI氏は、「未来を救う皆さんの意見を聞かせてもらうことを楽しみにしています」と語りかける。チームごとに子どもたちのメンターを務めるサポートメンバーが紹介された後、いよいよワークショップがスタートしました。

 

“アンコンシャス・バイアス”を探しにテーマパーク内を探索

 

 各チームで子どもたちの自己紹介が済むとファシリテーターが登場。グローバル時代らしく英語にて司会進行が行われました。

 最初は簡単なクイズが出題され、さまざまな職業につく人のプロフィールを紹介し、それが男性か女性かを当てる。紹介されたのは交通機動隊の白バイ隊員、ボクシングの世界チャンピオン、子どもを育てている人、そしてSMALL WORLDS TOKYOの館長。正解は順に女性、女性、男性、女性。どれも普通なら逆と思いがちだが、ファシリテーターは「それがUnconscious Bias(アンコンシャス・バイアス、無意識の思い込みや偏見のこと)です」と性別で仕事や社会の役割を決めつける意識が、ジェンダー平等の実現を阻む壁であると子どもたちに伝えました。
 それを受けた子どもたちは、自分たちが思うアンコンシャス・バイアスをリストアップ。ワークシートには「男の子は車が好き」「女の子はメイクをしておしゃれする」など身近な事例が並んだが、中には「フライト・アテンダントやバスガイドは女性の職業」「アメリカの大統領は男性」といった、社会に目を向けた意見もありました。
 その後、SMALL WORLDS TOKYOの施設内をグループごとに巡り、展示されているミニチュアの中に“アンコン”を探す行動型のワークショップを実施。支給されたタブレットは、見つけた“アンコン”を写真に収めるためのツールだ。それぞれ自由に宇宙センターや世界の街、エアポートなど、80分の1の世界の中に入り込んで、「工事現場の人はみんな男性だね」「宇宙飛行士もぜんぶ男性だよ」などと言いながら、和気あいあいと“アンコン探し”を行いました。

 会場に戻ると、展示エリアで見つけた“アンコン”から何を感じたか、それを変えるにはどうすればいいのかをチームでまとめ、他のチームと意見交換。こども未来国連会議への参加を表明した豊島区の高野之夫区長から挨拶があった後、子どもたちによる最終プレゼンテーションが行われました。

 

武蔵野市から参加した中村魁良さん(10歳)は「ジェンダー平等はすごく解決しないといけない重要な問題。そのためにいろんな人と会話して多くの意見を知りたい」と発言。他の子どもたちからもさまざまな意見が発表されました

 

音楽とリズムに身をゆだねコロナ禍のストレスを発散!

 

最後は会場を別階に移し、MIYAVI氏と音楽交流ライブセッション。子どもたちはタンバリンなどの楽器を手に、MIYAVI氏の奏でる音楽とリズムに身をゆだね、コロナ禍でのストレスを発散させているようにも見えました。

 

改めて一木氏が「ジェンダーという難しいテーマだったが子どもたちは自由に意見を出してくれた。また、感染対策を取りながら昨年より自由度を増して行えたと思う。世界が今こういう状況だからこそ、未来を担う世界の子どもたちによる話し合いでの課題解決が大事だと改めて思った」と総括。

 

なお、会場では昨年公募された「SDGsピースコミュニケーションタワー」のミニチュアがお披露目。今回参加した子どもたちのフィギュアも組み込まれた後、施設内に展示されるという。SMALL WORLDS TOKYO館長の竹村真紀子氏は、「私たちのミニチュア展示の中にもたくさんの“アンコン”があって驚いている。今後修正して行きたいので、ぜひ皆さんの意見を寄せてほしい」と語りました。

 

まさに子どもたちのアクションが小さな変革を起こしつつあることを感じさせつつ、「第2回こども未来国連会議」は閉幕しました。

 

TOKYO2020公認プログラム、内閣府認証事業「beyond2020プログラム」から創出された「こども未来国連会議」は来年度以降も毎年開催され、2025年の大阪・関西万博では世界の子どもたちが日本から“ピースコミュニケーション”を話し合い、発信していく。継続活動を目的に産官学参加による一般財団法人を設立予定。

 

 

「第2回こども未来国連会議」参加者へのメッセージ

林芳正 外務大臣

 

本日「第2回こども未来国連会議」が開催されることをお慶び申し上げます。また、イベントの実現に向けた関係者の皆様の御尽力に心から敬意を表します。私たちは今、新型コロナや気候変動など、国境を越えた地球規模の課題に直面しています。そのような中、ロシアがウクライナを侵略しました。日本は、ロシアを厳しく非難し、軍を引き上げるよう求めています。平和で豊かな世界を守るため、今、日本を始め、各国の政府や市民がウクライナと共に取組を進めています。このような国際社会の連帯はSDGsなど地球規模の課題を解決するためにも欠かせません。本日参加する皆さんには、未来のために人類としてどうすべきか、そういう視点で取り組んでいただければと思います。それこそが、国連憲章が掲げる「We the peoples」の精神だと思います。

皆さん一人ひとりのこれからの活躍に期待しています。

 

根本かおる 国連広報センター所長

 

今日はSDGs「持続可能な開発目標」の達成のために、世界のいろいろな国の子どもたちが集まって、自分たちに何ができるのかを議論する場だと聞いています。たくさんのアイデアが出ることを私も楽しみにしています。

 

さて、世界を揺るがした新型コロナウイルス感染症が世界で大流行し始めてからこの3月で3年目に入りました。皆さんの暮らしにも大きな影響があったことと思います。さらに、世界の平均気温がどんどん上がり、力をあわせて地球を守っていくことがこれまで以上に大切になっています。そんな中で、ヨーロッパのウクライナで戦争が起き、皆さんのような子どもたちが巻き添えになっています。多くの方々が命を落とし、そして故郷を追われ避難しています。皆さんもニュースをご覧になって胸を痛めていらっしゃることでしょう。自分に何ができるのか、考えていらっしゃることでしょう。争いごとは武器ではなくて、話し合いで解決する。これは世界のルールです。

 

そして、SDGs「持続可能な開発目標」にとっても、平和があって初めて、ゆたかな世界があります。今日はジェンダー平等について皆さんが議論されると聞いています。戦争や気候危機で住む場所を追われ、学校に行けなくなり、仕事を失うなどの影響は、女の子や女性のほうが受けやすいということを知っておいてください。また、平和について話し合う交渉の場に、女性が加わるということも非常に重要です。異なる意見に耳を傾けることや思いやりがこれまで以上に大切になっています。きょうの会議がそうした姿勢を学び合う機会になることを心からお祈りして、私からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

 

パトリシア・フロア 駐日欧州連合特命全権大使

 

本年もこの特別なイベント、「こども未来国連会議」にメッセージを寄せることができ嬉しく思います。私たちは、国籍や人種、性別に関係なく、誰もが持続可能で幸せな暮らしを送り続けられるよう、「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成する必要があります。皆さんはSDGsについてご存じでしょうが、その目標は皆さんにとって壮大なプロジェクトに聞こえるかもしれません。しかし、このように考えてみましょう。皆さんは、大人になった時、どのような社会で生きていたいですか。きれいな空気を吸い、青く透んだ海で泳ぎ、健康的な食事をしていたいですか。第2回こども未来国連会議のメインテーマは「ジェンダー平等」と聞いています。アフガニスタンでは、目下、多くの少女が学校に行けなくなっています。しかし、誰にでも、性別にかかわらず、平等に自分の持てる能力を発揮できる社会で生きるために、教育を受ける権利があります。勇気を持って、あなたの、そしてすべての子どもたちの権利が遵重されるよう訴えてください。本日の会議に参加する世界中の子どもたちには、学び、議論したことを家族や友達と共有してほしいと思います。次世代のリーダーとして、SDGsの達成に向かう一歩を踏み出してください。

 

ラシャッド・ブフラル 駐日モロッコ王国特命全権大使

 

「こども未来国連会議・SDGsピースコミュニケーションプロジェクト」は、世界中から来た子どもたちが話し合い、お互いを知ることができる素晴らしい取り組みです。このイベントを年次開催にした主催者の方々のご尽力に敬意を表しますと共に、2年続けてメッセージを送ることを嬉しく思います。

 

今年のメインテーマ、SDGsの5番目「ジェンダー平等の実現」は、誰もが共有し、認識すべき重要な課題です。モロッコでは国王陛下モハメッド六世のリーダーシップの下、ジェンダーの平等は基本的人権であり、法的義務であり、社会的および経済的要件であるという信念に基づいて、ジェンダー平等の推進を積極的な戦略と位置づけています。

 

世界中の子どもたちには、一生懸命勉強して、やりたいことを追求し、他者のために何ができるかを考えていくことを奨励します。
親愛なる少年少女の皆様、お互いに協力しあい、誰もが充実した人生を送ることができる明るい将来を築いてくれることを願っています。

 

ピーター・タン・ハイ・チュアン 駐日シンガポール共和国特命全権大使

 

シンガポールは持続可能な開発のための2030アジェンダを支持します。SDG sは、すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会の促進を目的としています。シンガポールの教育理念は、国の富は人にあるという信条に基づいています。教育の一環として、若者が必要なスキルを身につけ、市民意識や、社会的責任の価値を大切にし、グローバル化する世界に積極的に貢献できるようにすることです。

今年のイベントのテーマであるジェンダー平等はとても重要です。このイベントを通じて、子どもたちがこのトピックについて前向きに考えてくれるようになってほしいと思います。

子どもたちは私たちの未来です。より良い未来をつくるため、子どもたちとともにはじめましょう。

 

 

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