一般財団法人ピースコミュニケーション

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SDGs学習カリキュラム

SDGs学習カリキュラム@浜松市立北浜東部中学校

2023.02.03

 

「チョコレートをどんな基準で選ぶ?」カカオ農家を例に、浜松市の生徒たちがSDGs学習

 

 

浜松市立北浜東部中学校の1年生が2月3日、リモート授業で「SDGs(持続可能な開発目標)」について学習し、チョコレートを題材に世界の同世代の子どもたちのためにできることを考えました。

 

この日の授業は、幅広い業界で活躍している有識者や企業・団体が連携し、SDGsのテーマに基づいてネットワークや情報を共有して平和な社会づくりにチャレンジするアクションプロジェクト&オピニオン参加型プロジェクト「SDGs ピースコミュニケーション」の一環として開発している、SDGs学習カリキュラムの実証実験として行われたものです。カリキュラムは、早稲田大学、デロイト デジタル、内閣府認定事業の「BEYOND2020 NEXT FORUM」で作成しています。

 

はじめに早稲田大学総合研究機構グローバル科学知融合研究所副所長の一木広治氏が、浜松市が2018年に内閣府からSDGs未来都市に選定されたことから、今回の実証実験が始まったことなどを説明しました。

 

チョコレートをどんな基準で選ぶ?

 

 

授業には、1年生の4クラスと発達学級の生徒たち、113名が参加。講師にデロイト デジタルのコラボレーターである若林理紗氏を迎え、「未来のためにわたしたちができること」をテーマに学習しました。

 

 

「みなさんはどんな基準でチョコレートを選びますか?」との若林氏の質問で、授業はスタート。生徒たちが味や価格、カカオ濃度などを挙げるなか、「今日は、“誰が作っているのか”を考えてみませんか」と若林氏。チョコレートの原料・カカオの生産者に思いを馳せることを提案し、彼らの生活を知ることで、生まれた場所に左右されることなく、誰もが未来を選べる公正な世界を目指そうと呼びかけました。

 

 

カカオ農家の生活を知るため、日本が輸入するカカオの約8割を占める原産地、ガーナ共和国を例に「児童労働」の現状を紹介。家族経営の小規模カカオ農園では、主に人手が足りなくなる収穫期に、生徒たちと同世代の子どもたちが収穫作業の手伝いをしている現状を伝えました。

 

 

こうした児童労働の割合は、世界の子どもの10人に1人、アフリカの5人に1人にも上るという。若林氏は、児童労働により子どもたちが学びの機会を奪われていることや、重労働やけがの危険に晒されていることを伝えました。

 

児童労働に従事するカカオ農家の子どもたちの一日を想像

 

 

ワークシートを使った学習では、児童労働に従事している子どもたちの生活を想像し、生徒の日々の生活との違い、またそれらの違いが将来的にどのような影響を及ぼすのかを考えました。生徒らは日々「朝ごはんを食べたり、身支度をしたりしている」「勉強や部活をしている」「読書や宿題をしている」と自らの行動を振り返った上で、児童労働に従事する子どもたちとの生活を比較。「学校に行けず勉強ができなかったり、休憩がとれなかったりするのではないか」「テレビやゲーム、友達と遊んだり、長い時間眠ったりすることができないのではないか」など、さまざまな想像を膨らませました。

 

 

また、将来への影響については、「ごはんが十分に食べられないと不健康になって、病気にかかりやすくなってしまうのではないか」「勉強ができないと、仕事の幅が狭まってしまうのではないか」「言葉が分からないと、仕事で分からないことがあっても聞くことができなかったり、他の国の人とコミュニケーションを取るのが難しかったりするのではないか」「僕たちのように自由な時間が少ないので、ストレスが溜まるのではないか」など、心身への影響や職業選択の狭まりまで、さまざまな視点で意見が挙げられました。

 

 

一人ひとりの行動で未来は変えられる

 

若林氏は、こうした格差は“誰もが未来を選べる公正な世界”ではないと指摘し、「現状と目標のギャップを埋めるために、私たちに何ができるのかを考えてみましょう」と提案。児童労働の背景には、生産者の低賃金や人手不足、学校教育の重要性に対する理解不足、教育機会の欠如などがあると解説した。生徒がひとりで、アフリカに学校を建てたり、大人に教育の重要性を説いたりすることは難しいが、「お金がきちんと生産者に届く買い物をすることはできる」とし、国際フェアトレード認証のマークを例として紹介。国際フェアトレード認証は、最低価格の保証や教育支援などに活用ができるプレミアムの支払い、児童労働・強制労働の禁止、環境に配慮した生産方法の導入など、生産者の暮らしが守られていることを確認し、認証する仕組みで、フェアトレードの商品を購入することで、子どもたちの未来の選択肢を広げられることを伝えました。

 

 

その上で、浜松市が「フェアトレードタウン」としてフェアトレード商品が購入できる市内のお店を掲載したマップを作成していることを紹介し、「みんなの学校の近くにもフェアトレード商品を売っているお店がある。一人ひとりの行動で、生産者の暮らしを守る買い物をすることができる」と、生徒たちに行動を呼びかけました。

 

 

最後に、世界には児童労働だけでなく、食糧不足や差別、海の汚染など、解決すべき問題がたくさんあり、その問題解決を促進するために誕生したのが「SDGs」だと解説。目標達成に向けて活用できるステップを紹介したほか、17番の目標「パートナシップで目標を達成しよう」が示すように、多様な人たちと協力していくことの重要性を伝えた。生徒からは「フェアトレードマークについて興味を持つことができた。家族にも知らせていきたい」と、感想が語られました。

 

 

デロイト デジタルの宮下剛氏は「今日の学びは二つあったと思う。ひとつは身近なものから考えることが大事ということ、もう一つは今日学んだことをお友達や家族に話してみるということ。自分の言葉で話してみることで、より理解が深まるもの」と話し、生徒たちにアクションを起こす大切さを伝え、会を締め括りました。

 

 

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