国連を支える世界こども未来会議
第3回 国連を支える世界こども未来会議
2023.03.19
平和を実現するためにどうする? 国内外の子どもたちが膝を突き合せ考える〈国連を支える世界こども未来会議〉
世界の子どもたちが集まって平和で豊かな世界について考える「第3回 国連を支える世界こども未来会議(The Children’s Conference of the Future in Support of the United Nations)」が19日、有明のミニチュアテーマパーク「SMALL WORLDS TOKYO」で開催された。会議には国内外から14カ国約60名の子どもたちが参加し、10のグループに分かれ、平和や平和へのアプローチについてそれぞれの考えを交換したり、音楽ライブを楽しんだりして、交流しました。
会議は、SDGsや社会問題を「知る」=グループワーク、未来について「考える」=グループワークとディスカッション、そして考えや思いを「伝える」=発表で構成。この日は、「SDG ゴール 16. 平和と公正をすべての人に~平和な世界をつくるためには~」がテーマで、ジャーナリストの堀潤氏が自身の取材を通して伝える平和の講義を聞き、グループワーク。平和を実現するために必要なことは何かと考え、最終的にグループの考えをまとめて発表しました。
自己紹介やグループ内でのディスカッションを進めやすくするために使用されたのが「ウェルビーイング(well-being)カード」だ。「ウェルビーイング」は国内外でSDGsの達成への動きが強まる中で生まれた考え方で、自分らしくいきいきと生きるあり方や心地よくいられる状態を示すもの。カードは自分自身や周囲の人が「ウェルビーイング」に意識を向けて、対話を促すツールとしてNTTコミュニケーション科学基礎研究所が作成しました。
この日用意されたカードは全部で18種類。「挑戦」「思いやり」「自然との繋がり」といった「ウェルビーイング」を実現するため必要な要素が記載されており、それぞれの項目は「I(自分のこと)」、「WE(近しい非特定の人との関わり)」、「SOCIETY(より広い不特定多数の他社を含む社会との関わり)」、「UNIVERSE(より大きな存在との関わり)」の4つのカテゴリーに分類されています。
子どもたちは、カードの中から「友情(Friendship)」「愛(Love)」「Being Considerate(思いやり)」「生命・自然(Life and Nature)」といった自分が最近うれしいと感じたことや幸せを感じたことに合致するものを選び、例を挙げながら選んだ理由を説明してウォームアップ。そして次は平和を実現するために必要なことを改めて選んで同様にディスカッションしました。
グループ内でのディスカッションは英語と日本語のミックス。日本語もしくは英語しか理解できない子どもたちは、コミュニケーションサポーターの手助けを受けながら、お互いの意見を共有。「信頼(Trust)がないと始まらない」「その意見は他の考え方につながるね」など考えを交換し、お互いの意見に大きく頷いていました。
最終的にグループの答えとして1枚のカードを選び、その意見をパネルにまとめて発表。発表は、英語と日本語、そしてイラストを交えて行われた。英語ができる人、日本語ができる人それぞれの特性を生かしてプレゼンテーション。「平和のためには“思いやり”を持つことが必要。お互いを信頼したり共感したりできるようになるからです」、「重要なのは希望。ポジティブになることで自信を持つことができて行動をしようという気持ちになる。その挑戦を達成した時に平和になると思う」、「平和の前にまず友情。コミュニケーションや愛、信頼といった他の人間にとって大切なコンセプトにつながっている」、「社会のルールが必要」「信頼」といった、さまざまな意見に子どもたちは真摯に耳を傾けていました。
各グループの発表には大人たちがハッとさせられる場面も。カードのなかから1番大切だと思うことを決めるのはおかしいという意見だ。「人間が感じることはカードの数よりももっとたくさんあるし感じることや考えることはひとり一人違います。大切なのはひとつの決まった枠にとらわれることなく自由に発言すること。それが多様性を認めることでもあります。このような考えを自由にみんなが持てたらさらに可能性が広がる世界になると思う」との意見に大きな拍手が贈られました。
子どもたちが話し合ったアイデアは、7月に国連本部に届けられる予定です。
会議は、ウクライナ出身の歌手ナターシャ・クジーさんによる故郷の伝統的な楽器であるバンドゥーラの弾き語り、シンガーソングライターの天道清貴さんによる手話を用いたライブ、最後はジブリ映画『千と千尋の神隠し』の主題歌『いつも何度でも』を子どもたちも一緒に歌ったコラボセッションで幕を降ろしました。
この日はまた、2022年度に行われた豊島区、浜松市、大阪市での会議・アイデアコンテストから代表に選ばれた子たちが登壇し、それぞれの会議で発表した、自分たちが住みたいと思う未来の豊島区、浜松市、大阪市の姿と、どのように実現したらいいのかというアイデアをさらに磨きをかけた形で発表。会議の言語は基本英語で、小学生たちも英語でプレゼンテーションを行いました。
会議には、林芳正外務大臣、
本会議は、さまざまな社会課題を解決するために、企業・個人・団体のさまざまなネットワークや情報を教習し、コミュニケーション本来の力を駆使して、平和な社会づくりに積極的にチャレンジするアクション&オピニオン参加型プロジェクト「SDGsピースコミュニケーションプロジェクト」の一環として開催されている。2021年にスタート。第3回目となる2023年から国連の認証事業として「国連を支える世界こども未来会議」に名称を変え、新たなスタートを切りました。
今後は2024年に都庁で「第4回 国連を支える世界こども未来会議」を開催。2025年には、大阪・関西万博において第5回を開催する計画だということです。